当方もMS110、GS130と2度所有したことのあるトヨタのクラウンは、1955年から続くトヨタの代表的な車種ですが、普通の一般人には絶対販売されない形式名の末尾にZが付く車両がありました。
日本では中古車ですらただの一般人は絶対に購入出来ません。
そんなクラウンのS13#系世代、MS135Zとトヨタのパトカーの話です。
雑誌高速有鉛デラックスの高速有鉛StreetVWs(中の人)のツイートで130系クラウンに関して述べられていたので反応してしまいました。
5ナンバーボディ時代のクラウンは、排気量が2リッター超になると大型ウレタンバンパーが備わります。5ナンバー枠からはみ出す長いバンパーは、かつての北米仕様を思わせます。そして5ナンバーグリルに大型バンパーの組み合わせが醸し出すパトカー独特の表情は、写真の130系が最後となりました。 pic.twitter.com/EaOmMIWwMD
— 高速有鉛StreetVWs(中の人) (@FEN810kHz) 2020年1月27日
この上側の画像が正真正銘の普通の一般人には絶対販売されなかった筈のクラウンMS135Zなのです。
(画像上下の車両でグリルの出っ張り具合が違うのを覚えておいて下さい。)
知らない人には一般向けと見分けのつかないパトロールカー専用車両”Z”の蘊蓄ネタです。ガチのマニアに対してこのネタを振っても逆に重箱の隅を突かれて勝てませんが、一般向けのクルマくちプロレスの話題にどうぞww
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普通の人は知らないが、実はトヨタの警察や消防向けのパトロールカーは昔はクラウンに見えてもクラウンではなかった。
観音開きのRS~RS31くらいのクラウンや、次の二代目丸テールや角テールのRS41・MS41クラウンの頃、トヨタの警察や消防向けのパトロールカーは素人目にはクラウンに見えますが、別物のシャシーに当初はトラック・バス用(BH26/FH26)、その後ランドクルーザーのガソリン6気筒エンジンを積んだ別物(FS20)で、当時市販車はトヨペット・クラウンだったのに対して、トヨタ・パトロールという名前が付いていました。
(全部トヨタ・パトロールだった訳ではなく、トヨペット・クラウンもパトカーに採用されていました。)
一般には販売されませんでしたし、当時はクルマに関する情報が今ほど出回ってはいなかったので、一部の人を除いてクラウンとトヨタ・パトロールの区別は付いていなかったと思います。
この動画に写っているのも観音開きのクラウンではなくトヨタ移動無線指令車との事です。
よ~~~く凝視するとフロントフェンダーのオーバーハングが、ランクルの6気筒搭載でベースになったRS20クラウンより全然長いのですが、それに気付けたら神レベルですww
普通の人は観音開きのクラウンだと思ってしまう筈です。
トミカTLVは当初クラウンRS20をベースにしたパトカーを出していましたがわざわざFS20に新しく作り直しました。(楽天)

トミーテック 1/64 トミカ リミテッド ヴィンテージ LV-171a トヨタパトロール FS20型 (東京消防庁) ミニカー(ZM36889)

トミカリミテッドヴィンテージ LV-170a トヨタパトロール FS20型 (大阪府警) 2018年1月発売
で、その後もしばらくトヨタ・パトロールの名前で市販車より強力な大きめのエンジンを搭載していましたが、市販車バージョンや輸出仕様車に強力な2600ccや2800ccエンジン搭載車が登場したのでそれを搭載し、トヨタ・パトロールからトヨタ・クラウン・パトロールカーに名前が変わりました。
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警察や道路公団向けのパトロールカー専用車両”Z”
このトヨタ・クラウン・パトロールカーや道路公団のトヨタ・クラウン・道路巡回車など市販車と異なる車型は、型式名の末尾にZを付けて#S□□□Zといった型式名になっていました。
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MS135Zとは?
素人目にはどこが違うのかサッパリ判らないS13#系のパトカーや道路巡回車ですが、市販モデルには存在しない仕様の組み合わせで構成されています。
主な相違部分
エンジンが7M3000cc(前期)2JZ(後期=JZS135Z)で、確か市販の7Mとは仕様が異なった筈です。
マニュアルミッションが基本、フロアシフト。(市販クラウンには3000ccのマニュアルは無かった筈)
ボディは最低グレードのスタンダードに近いドアサイドモールやドアサッシの黒染めのない質素な車体で、テールランプユニットも低グレードと共通ですが、フロント部は2000cc上位グレード用のフォグランプ付き角型ヘッドライトとなって、パトロールカーはバンパーのみ3ナンバー車用の大型バンパーが備わります。
ガラスの色が最低グレード用の無色か色付きか?フロントウインドウがボカシ有か無しかまでは知りません。
内装もビニールでくるくる窓。なのに上位グレード用のフォーマルインパネCタイプがベースだった筈(うろ覚え、フォーマルインパネAタイプだったかも?)。
ホイールは市販のS13#系クラウンにはアルミホイールしか無かった15インチのスチールホイール。
リアサスペンションは上位グレード用の独立懸架。
低グレード外装&内装なのに大型バンパー、強力なエンジンとマニュアルミッションに独立懸架。
当時覆面パトカーが何か普通のクラウンと違うと感じていた人は居ませんか?
それはこのようにただのクラウンと違う仕様がオーラを放っていたからなのですww
この組み合わせは市販モデルには存在しないので、もし本気で市販車からパトカーモドキを製作しようとすると、
7M3000ccのセダンをベースにして、スタンダードのタクシーの外装パネルに全部貼り換え(上位モデルのモールやエンブレムを撤去するとボディに固定穴が開けられた状態となるので、固定穴の開いていない低グレードのボディパネルが必要。リア独立懸架なのでリアがリジットの低グレードをベースにするとフロアパネルの形状が合わない。)
内装もダッシュボードと前席以外タクシーから調達。前席左右等とルームミラーは教習車から調達。
別車種から5速MTを調達・換装。
140系クラウンから15インチのスチールホイールを調達。
それでも7Mの仕様が違う。
等々安易には改造出来ない特殊な仕様です。
なのでこの”135Z”を欲しいマニアは居るのですが、日本の警察はアメリカの警察のようにパトカーを中古車として放出しないので基本的に入手は不可能です。
道路巡回車もほぼ中古車として放出しなかったので、一般の人に渡ったMS135Zはほんの少数だと思われます。
ちなみにコレ、ただのクラウンを白黒に塗っただけに見えますが、歴としたMS135Z道路巡回車です。
見る人が見れば、ただのクラウンとはまるで別物ですw
このように、一見普通に見かけるクラウンと同じに見えるパトカーですが、実際は別物なのです。マニアなら更に詳しい情報を知っていてこの記事の誤りにもツッコミまくりかも知れませんw
レイズの製品は、安易に市販車モデルを白黒に塗った他社製品とは異なり、細かく考証された製品ですね。2000ccのGS151Zと3000ccのJZS155Zを作り分けています。残念ながらMS135Zは在りませんが。(楽天)

レイズ 1/43 トヨタ クラウン (GS151Z) 2000 警視庁所轄署地域警ら車両 (歌舞伎号) [H7430005]

レイズ 1/43 トヨタ クラウン (JZS155Z) 2000 神奈川県警察交通部交通機動隊車両 [H7430003]

レイズ 1/18 トヨタ クラウン (GRS202) 2011 警察本部交通部交通覆面車両 (銀) [H7181102]