車上荒らしに壊されたGS130クラウンのキーシリンダーを自力で直してみた話です。
旧車の鍵構造の参考になればと思います。
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タンブラー差し替えで治った!
今の車はスマートキーのプッシュスタートで、金属製の挿して回すカギはエマージェンシーキーしか無くなりましたが、かつては永い事金属製の挿して回して解錠するキーでした。
そんな昔のキーのキーシリンダーを直してみた事があります。
旧車のキー等では長い年月の間にバラバラなカギで各部を解錠するようになってしまったクルマ等で、同一の鍵で解錠出来るように改造する際の参考になるかも知れません。
ホームレスが車上荒らしをしようとしてクルマのドアキーに何かを差し込んでドアハンドルを持ち上げ、ドアハンドルを変形させてキーシリンダーを壊した事がありました。
20年落ちに近い古い車で車両保険を掛けても無意味だったので任意保険の車両保険には加入しておらず、ドアパネル自体は変形しなかったので板金修理の必要もなかったので、ヤフオクでGS130クラウンのドアハンドルを落札し、自分で修理しました。
ドアハンドル自体は、壊された物から中古のドアハンドルに交換するだけですが、キーシリンダーが壊されているので運転席のドアが鍵で開けられません。
中古のドアハンドルは合鍵もないので、運転席のドアだけ中古のドアハンドルに付いていたキーシリンダー用の鍵で解錠するという訳にもいきませんし、仮に鍵番号が判ってディーラーに合鍵を注文したとしても、運転席のドアだけ違う鍵では不便です。
当然キーシリンダーの修理などやった事は一度もありませんでしたが、取りあえずドアハンドルからキーシリンダーを取り外して、キーシリンダーを分解してみました。
キーシリンダーの構造は、タンブラーという金属製の中央に長方形の孔が開いた小さいプレートが内筒の中に数枚並んでいて、外筒側のドライバーピンという物で押しつけられています。
タンブラーは一枚一枚長方形の孔の形(位置?)が微妙に異なります。
ロック時は外筒側のドライバーピンというのが内筒側に飛び出していて内筒が回らない状態なのですが、鍵を差し込むとタンブラーの長方形の孔の中を通り、カギに刻まれた山の高さに応じてタンブラーが押し上げられ、カギ山とタンブラーの高さが内筒の外周と合致するシャーラインというのが全て揃うと、ドライバーピンの押さえが解除されて内筒が回転するようになって解錠するという仕組みです。
異なる鍵を挿入してもシャーラインが合わないので内筒は回らず解錠しません。
キーシリンダーを分解してみると、タンブラーが何かで押し広げられたように変形していたので、キーもキチンと挿せずに、タンブラーが内筒に引っ掛かって回転もしなかったと判明しました。
中古のドアハンドルに付いていたキーシリンダーも分解して、タンブラーを取り出しました。
壊されたタンブラーと形状が一致するタンブラーを探して元の内筒に納め、シャーラインが揃うのを確認して組立てました。
キーシリンダー表面のカギ穴やカギ穴のフタも壊されていたので交換しました。
キーシリンダー自体の修理はそれほど時間は掛かりませんでした。
キーシリンダーを自分で修理する際の注意点は、パーツ一点一点が非常に細かいので、分解や組付け時にスプリング等のパーツが飛んでいってしまう場合があるので、注意深く分解・組立をする事と、万一吹っ飛んでも飛び散ったパーツが見つけ出せるような環境で作業をする事です。画像は悪い例ですww
当方のクラウンは、これで無事ドアハンドルの修復を終えました。
アメ車の旧車などは、ドア左右とトランクの3個セットで純正相当の社外の新品が販売されているので(古いアメ車はドアキーとイグニッションキーは別個)それを購入して全部交換してしまえば済みますが、国産でメーカーから部品の出ない旧い車種等だったら、いくつも中古のキーシリンダーを集めて分解し、タンブラーを統一すれば新車同様に一本のキーで施錠・解錠出来るように修理可能かも知れません。