カトラス☆アメ車☆旧車&イラスト

アメ車旧車を中心に、クルマにまつわる話を綴ります。

旧車 アメ車のレストアについて知っておいて欲しい事。

旧車やアメ車の販売広告でレストア済という文字を目にした人も多いと思います。
又、旧車やアメ車にお乗りでクルマが痛んできて、レストアを漠然と検討している人も居るかも知れません。
そこで旧車 アメ車のレストアについて数回に渡って実例や私見を述べたいと思います。

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  •  レストアとは?

当方は2013年の秋頃から1970年式オールズモビルカトラスを、レストア専門店に依頼して比較的大規模に外装の補修を行いました。


その際の経過や知人の実例を挙げて今後少しレストアについて話したいと思いますが、まずレストアという言葉の定義について私見を述べたいと思います。

 

  • 日本の中古車のレストア済って?

旧車やアメ車の中古車広告で頻繁にレストア済という言葉を見かけると思います。

レストアとはレストレーションの事なので、日本語的には復元・修復・回復といった意味合いになると思います。

 

なので本来は、痛んだり壊れたりした部分や、欠落してしまった部分を元の状態に復元する事を指します。

 

アメリカやヨーロッパでは古くから旧車趣味が認知され、浸透していたので当方は今から40年前の1980年代初頭にはレストアやレストレーションという用語は目にしていました。

 

ところが日本では、残念ながらそこまで旧車趣味が一般には認知されておらず歴史も浅い為に、レストアという言葉の正確な意味が伝わらないまま一人歩きして、中古車業界に都合の良い用語に歪曲されてしまいました。

 

なので日本で云うレストアとアメリカやヨーロッパの定義のレストアは、まるで異なる物なので、アメリカやヨーロッパで知らずに安易にレストアというコトバを用いて恥をかかないように正確な意味のレストアやレストレーションという言葉を知った上で日本とアメリカやヨーロッパで使い分ける必要があります。

  • アメリカやヨーロッパでのレストアの定義

まず、アメリカやヨーロッパでのクルマのレストアやレストレーションの定義を説明します。

 

大前提が元の状態に復元する事なので、殆どの場合新車出荷時のオリジナルの状態に戻すのが基本となっています。一部は特定の仕様だった時点の状態に戻す場合もあります。

 

どこまでオリジナルの状態に忠実に復元されているかがレストアの評価ポイントとなります。

 

当然新車出荷時の状態なので、カラーコードに基づいて新車時の塗色に戻されなければなりません。

シートや内貼りも、新車時と同じ素材・張地で修復されなければなりません。

 

もしフルレストアなら、車両はボディもエンジンも一旦全てバラバラに分解して、各部は洗浄・修復・再塗装・再メッキして組立て直さなければなりません。

 

この動画のように、ココまでバラさないとフルレストアとは言えません。

日本の中古車のレストア済との違いを目視して下さい。

腐食して穴が開いたボディパネルは、金属の板金で新車時と同じ形状に復元します。
FRP等で床の穴を塞ぐなど言語道断です。

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タイヤやホイールも純正が必須です。

電装の6V仕様を12Vに改善するのもNGです。鉄のボルトナットやマフラーを錆びにくいステンレスに置き換えるのも無し。

 

高年式のエンジンへの載せ替え等はレストアとは呼びません。
レストロッドとかレトロフィットと呼ばれ、レストアとは別カテゴリーに属します。

 

この辺が日本では完全に混同されています。

 

このコルベットはレストアではなくレストロッドです。

レストアとレストロッドの違いをよく理解して下さい。

 

著しくこだわる場合、バッテリーやタイヤまで当時と同じ物を要求されます。

 

ナンバーズマッチといって、エンジン・ミッション・ボディに打刻された製造番号が出荷時と一致しているのが最も素晴らしい状態と認知・評価されます。

 

元々普通のグレードだった車種にマッスルカーのエンジン等を搭載して、純正のマッスルカーと瓜二つに再現するのはレストアではなくクローンと呼ばれます。
この場合エンジンだけでなく、各部のディテールも徹底的に変更されます。

 

このクルマも徹底的に仕上げてあるので本物のオールズモビル442と見分けが付きませんが、Cloneと明記しています。

ハコスカにS20エンジンだけ換装してGT-R仕様と言っても認められません。
素ガラスにしてラジオは撤去し、14インチの純性鉄ホイールにして隅々細部まで徹底して本物のGT-Rと同じ仕様にしなければクローンとすら呼ばれません。

 

日本では当たり前の社外アルミホイール装着が、日本と海外のレストアに対する認識の差を象徴しています。

 

  • 安易な日本のレストア

逆に日本のレストアはクルマ趣味文化の浅さ、レベルの低さを物語っていて、上記の縛りはなく何でもアリですww

 

しかも日本で一番上に貼った動画と同じメニューのレストアを日本でしたら、クルマの金額が普通の人には買えない値段になってしまうので現実的ではありません。

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なので日本では好きな色に塗り替えてインチアップした社外アルミホイールに履き替え、細かいモールやエンブレム類を撤去してレカロシートに社外ステアリング、エアロやスポイラーを装着し、エンジンやキャブレターを換えても、堂々とレストア済と胸をはって自慢出来ます。日本国内に限ってレストア済と自慢して全然OKです。

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但し、アメリカやヨーロッパでソレをレストア済のミントコンディションと自慢してしまうと痛いのでやめましょうww

 

クルマ趣味文化が古くから浸透しているアメリカやヨーロッパと異なり、一般人の旧車の認知度が低い日本では、新車時の状態に戻せと言ってもリプロダクションパーツ等がほとんど出回っていないので、走る状態でキレイに仕上げてさえあれば何でもアリなのは仕方が無いと思います。

 

アメリカでも全てが完璧なレストアを施されている訳ではなく、DIYのホビーとして細かい事は気にせず各自なりのクルマいじりをしている人も多いので、一概に上記の条件が当てはまる訳ではありませんが・・・。

 

申請して所定の手続きを経て認定されれば、ヒストリカルビークルとして歴史的文化財の保護に貢献しているとして自動車税が免税や減額になる制度がある地域も存在するアメリカやヨーロッパと、
新車から13年を超えると環境に負荷を与えると自動車税も重税量も増税になる日本ではこの認識の差はそう簡単には変えられないと思います。

 

それでも日本とアメリカやヨーロッパで、レストアの定義がまるっきり異なる事だけは、絶対に知っておいて下さい。


当方もカトラスの外装を、100万円掛けて比較的大規模に修復しましたが、正直レストアという言葉は用いたくありません。

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Webで公開する便宜上、広く一般に伝わる様にレストアという言葉を使用する場合もありますが本意では無い事をご承知おき下さい。

 

今後少しずつレストアに関して書いていきたいと思います。

 レストアを題材にしたコミックなんて有るんですねw 知りませんでした。楽天の電子書籍です。


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