今回は整理統合でOEM化が進んで、間もなく二択となる軽商用車の話題です。
- トヨタ勢と日産勢の二分化とホンダの撤退
かつて日本の自動車メーカーは、各社それぞれ独自の車種を開発して生産・販売していました。
しかし45年くらい前から徐々に国際的な自動車メーカーのグループ化が活発化して、以降グループの再編を繰り返しながら現在に至っています。
その影響でかなり前から単独メーカーでの開発ではなく、世界規模でのプラットホーム共用化やエンジンの共同開発等が進められてきました。
日本での小型の商業車は、末端のユーザー層がそこまで個別の自動車メーカーの銘柄にこだわって性能や個性を吟味して車種を選択する層でもなかったので、早い段階で自社内での姉妹車・兄弟車化は進められていました。
しかし軽トラや軽の1BOX車はそれなりのシェアが有ったので、長らく各メーカーが独自の車種を開発して商品展開していました。
ところがここ20年ぐらいで軽トラや軽の1BOX車にも集約化の波が及んで、遂に2012年には独自のファン層に支持されて50年続いたスバルサンバーもダイハツハイゼットのOEMとなり、日産の子会社となった三菱も、日産にOEM供給していた程のミニキャブを2014年にスズキキャリイのOEMに変更する事態に陥りました。
そして遂にホンダも、軽トラのアクティを2021年に開発自体から辞めると宣言しました。
2020年現在の軽トラ、軽1BOX車のOEM表です。
トヨタ系グループ
- ダイハツハイゼット カーゴ(バン)・トラック=ベース車両
- トヨタピクシス バン・トラック
- スバルサンバー バン・トラック
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日産系グループ
- スズキエブリィ(バン)・キャリイ(トラック)=ベース車両
- 日産NV100クリッパー(バン)・NT100クリッパー(トラック)
- マツダスクラム バン・トラック
- 三菱ミニキャブ バン・トラック
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軽トラではどちらにも属さない判断のホンダは、2021年でホンダアクティを廃止、バンタイプはN-VANを後継車にして軽トラは消滅という選択肢を選びました。
- 二択となった軽トラ
という事で日本の軽トラは、名前とブランドが違うだけで実質ハイゼットかキャリィの二択という残念な結果に陥ってしまいました。
各メーカー独自車種を開発していた時代を知る身としては、何とも寂しい限りです。
どれを選んでも同じというのは、ちょっと味気ないですね。
- 日本独自の軽トラ
ちなみに海外には日本の軽自動車という法制上の規格がないので、1960年代の軽トラが普及し始めたごく初期には日本と同じ360ccで、輸出されたり現地生産されたりしていましたが、間もなくエンジンや積載量、ボディが拡幅されていきました。
日本の軽トラから派生したモデルは、アジア圏を中心にオセアニア・ヨーロッパ・南米等でも生産・販売されていますが、大部分が日本の旧モデル時代に枝分かれして独自の進化を遂げている物ばかりです。
台湾の中華菱利(中華べリカ)
インドのスーパーキャリイ(マルチスズキ)
2020年現在、日本の現行型軽トラがベースと考えられる車種は、インドネシアで生産されてアジア圏に供給されているダイハツハイマックス(1000cc)と、インドネシアのスズキで生産されてアジア圏に供給されているキャリイくらいでしょうか?
とは言えアジア圏向けのスズキキャリイは、1500ccで日本の軽トラよりかなり大きいですがw