今回は、お絵描きが続いて飽きてきたので、違う話題を挟みます。
実録 三億円事件 時効成立(1975・東映)
この映画は1968年12月10日に発生した三億円強奪事件(府中三億円事件)を題材にした映画で、2020年11月18日に逝去された東映グループ会長の岡田裕介氏が主演の作品です。
- 三億円事件
かつては三億円事件と言えば誰でも知っていた事件でしたが、さすがに50年以上経過して何の事か知らない人や、伝聞に次ぐ伝聞で曲解されてしまった人も居ると思います。
三億円事件自体は別の機会に詳しく取り上げたいと思いますが、全く知らないと話が分からないので、概要を記します。
1968年(昭和43年)12月10日に府中刑務所裏の通りで、東芝府中工場の従業員用のボーナス約3億円を積んだ現金輸送車が、白バイ警官を装った犯人に車ごと強奪される事件が発生しました。
被害額が当時としてはずば抜けて高額(この事件以前は3100万円が最大)であったり、それまでにない用意周到な計画的犯行、強奪時にけが人や死人も出ず、3億円は保険で補填されるなど一見直接的な被害者が居なかった(現実には事件に関わった被害者は多数居るものの、当時の情弱な一般大衆には見えなかった)事で話題になりました。
結局刑事事件としての時効の1975年の12月10日まで犯人を捕まえられず、迷宮入りしました。
この為、時効成立後も犯人像の推察や創作物のモチーフとして多く取り上げられ、知名度の高い事件でした。
- 実録 三億円事件 時効成立
映画「実録 三億円事件 時効成立」は、この1975年の時効に合わせて企画された物です。
詳細はウィキペディアに詳しく書いてあります。
1975年は三億円事件の時効という事でマスコミでも話題になっていて、沢田研二の「悪魔のようなあいつ」など小説やドラマ等の創作物も多数創られていました。
当時、任侠路線から仁義なき戦いのヤクザ物へ移行して好評だったとは言え、人気の終わりが見えていた東映は、新しい路線を見出そうと模索していた様子です。
そして総力を結集して巨費を投じて製作した新幹線大爆破(1975)が大ハズレで急遽、三億円事件の話題性に肖ろうと企画された作品のようです。
その為じっくりと練り上げられた物ではなく、やりながら細部を二転三転させて出来上がった作品のようです。
この暗中模索の中から、1975年夏の「トラック野郎ご意見無用」が当たって、トラック野郎がシリーズ化されたとの事です。
- みどころ
見どころは映画序盤の現金輸送車を強奪するシーンです。
一部異なりますが、史実をかなり忠実に再現しています。
事件から7年弱の1975年に実際の犯行現場でロケを行っており、まだ事件当時の風景からそれ程変わっていないので、リアリティが高いです。
- 岡田裕介
この映画の主演で、後に東映グループ会長となった岡田裕介氏は、残念ながら2020年11月18日に逝去されました。
岡田裕介氏は当時の東映の社長、岡田茂氏の長男ですが、高校生の頃石坂浩二氏にそっくりということでスカウトされて、東映ではなく東宝からデビューしており、「実録 三億円事件 時効成立」は、東映初出演の映画だった模様です。
古い雑誌に掲載されていたんだけど。
— 藤原氷子 (@hyoukofujiwara) 2018年6月13日
#石坂浩二 さんに似ている、ウリ二つ、なんて記事で #岡田裕介 さんという方と #石坂浩二 さんがお二人並んで載っていた。
私はこれを見て「え~、似てないよ~‼️」と思ったんだけど(^^;
似ているの❓️このお二人。
何回見ても似てないよ~‼️ pic.twitter.com/zEhjpzHujA
その後は俳優兼プロデューサーからプロデューサー色を強めて、東映の社長を経て東映グループ会長となった模様です。
- あらすじ(ネタバレなし)
西原(岡田裕介)は競馬で使い込んで銀行をクビになった不良社員で、畜犬業といいつつ年上の医者の娘で金持ちだった向田(小川真由美)を内縁の妻にして貢がせて、自分は競馬に明け暮れていた。
岡田裕介は一山当てようと一人で現金輸送車を強奪しようと計画していて、下準備として繰り返し犯行現場の府中刑務所裏とは反対側にある農協に脅迫状を送って、警察の目を農協に集中させる作戦を始めていた。
小川真由美は家財も借金のカタに取られ、勘当状態になって家から金も持ち出せなくなっており、水商売で働いて貢いでいたが、岡田裕介の計画を知る。
どうせやるなら完璧にしなさいと、小川真由美は岡田裕介に全面的に協力して準備を進める。
1968年12月10日、現金輸送車の強奪は見事に成功し、奪った金はそのまま岡田裕介の実家の山梨の墓に直行して隠し、時効まで手を触れない計画だった。
しかし老練なたたき上げの刑事葛木(金子信雄)の眼だけは誤魔化せず、徐々に岡田裕介に迫ってきた。
金子信雄に山梨の墓を暴かれたが、直前に岡田裕介に無断で持ち出される事を心配した小川真由美の機転で三億円は墓から自宅に移されていた。
墓から三億円を持ち出そうとして墓に刑事にが来ていた刑事に遭遇して取り乱した岡田裕介に、小川真由美はナンバーが控えられている500円札2000枚と賞与袋をすぐに焼却処分するように指示を出し、転居の手配を始めた。
岡田裕介は近所の団地の焼却炉で札束と賞与袋を焼却処分したが、夜間に焼却炉で何かを燃やす不審人物として団地の住人に目撃されてしまう。
逮捕の危機は逃れたが、現金が自宅にあると知った岡田裕介は、小川真由美の目を盗んで全額種馬の株に投資してしまう。
時効間際、金子信雄は焼却炉の件や種馬株の名義貸しへの捜査から、独断で岡田裕介を犯人と断定して、畜犬の鑑札の届け出なしの無許可繁殖の容疑で別件逮捕して、クビ覚悟で時効まで拷問して厳しく追及し、自白させようとした。
12月10日午前零時、時効の時間となったが・・・

実録三億円事件 時効成立 [DVD]
宮崎あおいが実行犯役の三億円事件を題材にした映画です。
プライム会員なら無料??(※要確認)

初恋
読んでいないのでノーコメントw

府中三億円事件を計画・実行したのは私です。
こちらも三億円事件を題材にした映画です。

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