前回30・31型の初代セドリックの変遷を紹介しましたが、イマイチ伝わりづらかった気がするのでイラスト化してみました。
時系列で話したいので、とりあえずデビュー当初のタテ目モデルまで遡ります。
- 全長が3通りの30型初代セドリック
初代セドリック(30~31型)の特色といえば、ボディの全長とホイールベースが車種によって細かく造り分けられていた点です。
タテ目の30型時代で3通り、1962年にマイナーチェンジで横目になった31型では、3ナンバー6気筒2800ccのスペシャル(50型)も含めると、実に全長で5通りのバリエーションに造り分けていました。
- 日産初のモノコックボディ
初代セドリックは、日産初のモノコックボディを採用した車種でした。
当時の純国産車はまだまだフレームとボディが別体構造の乗用車が主流で、日本でライセンス生産していたオースチンA50・いすゞヒルマン・日野ルノーを含めたヨーロッパ車が一足先に軒並みモノコックボディを採用している時代でした。
余談ですが日本初のモノコックボディは富士重工のバス、モノコックの乗用車はスバル360です。
- 31型のバリエーション展開
まず前回と重複しますが、デビュー当初のタテ目の30型のおさらいから。
1960年4月にデビューした初代セドリック(30型)は、デビュー直後は5ナンバー枠が1500cc未満だった為に1500ccでスタートしますが、間もなく法改正で5ナンバー枠が2000cc未満に拡大されたので、その年の9月には1900ccの「カスタム」(G30)を追加します。
この時「カスタム」は1500ccモデルより全長とホイールベースを10センチ延長して1500と1900の二本立てとしました。
その後このクラスの市場の主流が1500ccから2000ccに移行し始めたのを踏まえて、翌年に1500と同じ全長とホイールベースの「1900DX」(DP30)を加えます。
また同時期に4ナンバー商用車としてバン(V30)も追加します。バンはホイールベースは1500ccと同じなのに、荷室部分を延長して「カスタム」よりも長い5ナンバー枠ギリギリの全長となりました。
1961年のマイナーチェンジ後に、バンと同じボディで8人乗り折りたたみサードシート付きの5ナンバー乗用車版「エステート」ワゴン(WP30)も加わります。
こうして3通りの全長違いの初代セドリックが展開されました。
- 30型から31型へ
1962年にビッグマイナーで特徴的だったタテ目4灯の顔は横型4灯式ライトに変わり、型式も30型から31型へ進みます。
- VP31・WP31:バン&エステートワゴンはボディの構成は短いホイールベースに5ナンバー枠ギリギリの全長で変わりませんが、バンのエンジンは1500ccから1900がメインとなりました。
- 31:元来セドリックの基本形だった1500ccモデルは、市場が2000cc級メインに移行してしまったので、スタンダード相当の廉価版のみとなり、全長・ホイールベース共に短い車種はこの31だけになりました。
- G31・G31S:市場が1500ccから2000ccに移行した為に、1500ccより10センチ長いボディがメイン(1900DXと1900(スタンダード相当))になりました。
後に追加されるディーゼル(QG31SY)とLPG(G31SYP)もこの全長とホイールベースです。
- H31:横目のセドリックは俗に「H31セドリック」と呼ばれますが、「H31」は厳密には「1900カスタム」のみを指す型式です。
1500より10センチ長い1900より、更に6センチ全長とホイールベースが伸びています。
俗にH31と呼ばれるだけあって、31系の残存数では最も多いと思われ、イベントで見る車両の大部分はこの「H31・1900カスタム」です。
- 50:1963年に、新たに2800cc6気筒エンジンの「スペシャル」が登場します。
こちらは戦後初の国産3ナンバーサイズの大型セダンとなります。
外観は31型と同じ流れのスタイルですが、型式も「50」と異なり全長もホイールベースも31系よりかなり長いです。
全車を縦一列に並べて全長とホイールベースを比較します。
ホイールベース上に縦線を入れて長さの違いを示しています。
バン・エステートは後部が異様に長く、1500・1900・カスタムで微妙に長さが違う事が判ると思います。
2800のスペシャルは別物と分かる筈です。
※イラストは正確な縮尺比率ではなく、イメージで描いています。
- 31型の変遷
前回実写の画像で判り辛かったので、マイナーチェンジによるフロントグリルの変遷をイラスト化してみました。
1962-63年
タテ目の30型から横目4灯の31型にビッグマイナーした直後の顔は、メッキの打ち抜きグリルのような比較的シンプルな横長の格子状のグリルでした。
赤矢印のフェンダーの丸いウインカーは当初は装着されておらず、末期に付いたのかこの代は付かないままだったのかは不明です。
テールランプは赤とバック灯の白の2色タイプです。
63-64年
64年型と呼ばれる顔です。グリルがダイキャスト製っぽい造りとなり、上下二段構成の意匠になります。グリル内の車幅灯も長細いカタチに変わります。
65年型との見分け方は、下段の意匠の縦分割数が細かい(8分割?)ほうが64年型です。
64-65年
65年型と呼ばれる最終顔です。64年型との見分け方は、グリル下段のの意匠の縦分割数が少ない(5分割?)ほうが65年型です。
テールランプも赤とウインカーの燈色とバック灯の白の3色タイプに変わります。
- 実際には更に煩雑
前回の記事に下のような反響も頂いたので、現実の車両は年式やグレードでかなり細部が違っていたように思います。
こういう整理が読めるのは楽しいですね!
— Kanabun.R.E. (@KanabunR) 2021年11月20日
初代セドリックは前後ドア、フロントフェンダーが同年式、同グレードでないと互換性が無い、というのをold timer誌で読んだように思います。前期と後期でカスタムのWBが異なるのも驚きですよね。
続きに期待します!130系のエンジンの変遷などもぜひ! https://t.co/v0smH3w2De
フロントドアも地味に違い、三角窓も寸法が違うので、部品取りが部品取りにならなかった話をメーカー系の方から聞きました😅
— TATERUNGER (@TATERUNGER1) 2021年11月20日
次回は、この横目セドリックの総称として本来は「1900カスタム」のみを指す型式名の「H31セドリック」が俗に用いられている件について触れてみたいと思います。
ランダムにAmazonからセドリックのミニカーを紹介
タテ目の初代(G30型) TLV1/64スケール
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ヨコ目のH31カスタム TLV1/64スケール 65年グリルで64年テール?
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1/43スケールのバン 64年グリルで64年テール
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1/24スケールのタテ目 相当なプレ値なので参考までに
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二代目の130セドリック前期型 バンパーのオーバーライダーとテールランプが1965年仕様のタイプ 他に前期型では1966年仕様やグレード違い、更に後期型もある。
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