2022年5月22日(日)に道の駅富士川で開催された、第12回クラシックカーミーティングin山梨で見掛けたクルマの中から数台チョイスして紹介します。
前回の商用車に続いて今回はアメリカ車です。
- 第12回クラシックカーミーティングin山梨
クラシックカーミーティングin山梨は、山梨旧車倶楽部という団体の主催で定期的に開催されている模様で、前回2021年11月7日に開催された際に初めて見学し、今回が2回目の見学です。
会場で見掛けた、ミーティング参加車両と見学ギャラリーの車両から、目についたクルマを数台ずつ紹介します。
- シボレー ノヴァ SS(1968-69年?)
家に帰ってからググれば年式は簡単に判るだろうと撮影だけしましたが、正確には判りません。多分1968年か69年辺りかと思います。
当時のアメリカ車は消費者の購買意欲を喚起させるために、モデルイヤー毎に特に見た目に小変更を加えて旧型を陳腐化させるのが定石でした。
なのでこのノヴァも、年式によってディテールに特徴があるものと思っていましたが、判りませんでした。
このノヴァは1968-72年のモデルで、SS(スーパースポーツ)なのでノヴァの中では最もスポーティーなグレードです。
何でもないタダの80系カローラはほぼ趣味の対象にならないのに、86レビンだけ珍重されるのと同じで、凡庸なタダの4気筒や6気筒の4ドアのノヴァなどはあまり見向きもされず、V8でスポーティーなSSだけが特に趣味の対象として扱われる傾向が強いです。
年式を細部で識別しようとググってみましたが、バンパーの車幅灯のカタチがこの画像のタイプと、コレより縦長で長方形に近いタイプがあるようですが、ソレが年式で違うのか?オプションやグレードで違うのかまでは判りませんでした。
もし年式で違うとすると、68-69年かと思われます。
フェンダーのマーカーが矩形で、手前に350の文字、後ろがレンズになっていますが、70年以降のモデルでは全面レンズになって、上部に350(はエンジンサイズ 350キュービックインチ=約5700cc)の浮き文字とデザインが変わるようです。
アメ車に乗る人は個性の主張が強い人が多く、クルマも自分だけのスタイルを目指して、車高やタイヤ・ホイールをカスタムする人が主流なのですが、近年はこの車両のようにオリジナルの良さに気付いて純正状態をキープする人も増えてきました。
こちらが純正ラリーホイールと当時のオプションで流行したレッドリボンタイヤの組み合わせで、当然車高もノーマルです。
- シボレー ノヴァの変遷
モデルイヤーの1960年になるとGM・フォード・クライスラーのビッグ3が、それまで見向きもせずランブラー等の弱小メーカーの独断場だった、コンパクトカークラスのモデルを一斉に登場させます。
フォードはファルコン(とマーキュリーコメット)、クライスラーはプリマスヴァリアント(とダッジランサー)
GMはYボディとして
- ビュイックスペシャル
- オールズモビルF85
- ポンティアックテンペスト
と、異端児のシボレーコルベアを登場させました。
GM車は、キャデラック・ビュイック・オールズモビル・ポンティアック・シボレー・GMCの各ディビジョンで独自に車両開発しているとは言え、主要な部分は共通化してコストダウンやメンテナンス性の向上に繋げているのですが、Yボディでは各ディビジョン攻めていてw
ビュイックとオールズモビルはアルミエンジン、オールズはターボチャージャー、ポンティアックはトランスアクスルと独自性が強い分互換性は低めでしたが、シボレーコルベアは当時の大手メーカー的にはかなり攻めていて、水平対向空冷リアエンジンと他のYボディとほぼ互換性のないモデルでした。
コルベアは大手メーカーとしては意欲的で革新的なモデルでしたが、活動家のラルフネーダーに揚げ足をとられて欠陥車のレッテルを貼られてしまい、セールスは激減してしまいます。
コルベアが画期的すぎる為の安全パイなのか? シボレー部門では1962年からGM-Xボディとしてコンパクト級にシェビーⅡを登場させます。
こちらは攻めたコルベアと正反対で、オーソドックスで奇をてらわない保守的なFR車でした。
Xボディは当初シボレーディビジョンのシェビーⅡ(とカナダのアカディアン)のみでした。
下はカナダ専売のアカディアン ベルモント
Now live at BaT Auctions: 1963 Acadian Beaumont Con https://t.co/IdmeopINxl pic.twitter.com/NAG4XRWPUp
— Bring a Trailer (@Bringatrailer) 2016年10月28日
ノヴァは当初シェビーⅡの上位スポーティーグレードの呼称でシェビーⅡノヴァでしたが、GM車あるあるでw
出世魚的にシボレーベルエア→ベルエア・インパラ→インパラ→インパラ・カプリス→カプリスや、
シボレーシェベル→シェベル・マリブ→マリブ
オールズF85→F85カトラス→カトラス
ポンティアックテンペスト→テンペスト・ルマン→ルマン
というように、当初そのシリーズの上級スペシャルグレードに付けられた名前が、いつの間にかシリーズ名になってしまうパターンで、1969年にはシェビーⅡノヴァからシェビーⅡが消えて、それまでのシェビーⅡシリーズ全体がシボレーノヴァとなります。
シェビーⅡ(1969年以降はノヴァ)は
初代:1962-65
2代目:1966-67
3代目:1968-74
4代目:1975-79
で、3代目は1973年に5マイルバンパー化で大きく印象が変わります。
なので、画像のモデルは二代目の前期となります。
当初シェビーⅡのみだったGM-Xボディにも、1971年にポンティアックヴェンチュラ、1973年からはビュイックアポロ、オールズモビルオメガも加わります。
2代目がマイナーチェンジした1973年からは、クーペタイプのボディながらトランクではなくリアゲートが開く、当時としては斬新なハッチタイプの3ドアモデルも登場しました。
- シボレー カマロ Z28(1980・81年?)
こちらも、家に帰ってからググれば年式は簡単に判るだろうと撮影だけしましたが、結局正確には判りませんでした。
バンパー一体型のフロントフェイスは1978-81年ですが、フェンダーのエアダクトの形状とボンネットのバルジから、80年か81年のモデルのように思われました。
今気付きましたが、フェンダーのマーカーが変更されていて、テールランプのバックランプの一コマが塞がれておりドアミラーも可倒式っぽいので、正規ディーラー車なのかも知れません。
当時輸入された正規ディーラー車で、しかも最強グレードのZ28でコレだけキレイな状態でオリジナルを保っているとすればかなり貴重です。
- メジャーな輸入車だった故に
後述しますが、このモデルはカマロ的には第二世代のモデルで、グレードを分けなければ当時正規ディーラー車としてかなりの台数が輸入された、アメ車の中では割とメジャーな車種でした。
その為、比較的安価な中古車として流通しており、当時の若者がアルミ・タイヤを改造して乗り回し、税金が高くて手放した車両が更にイジられて中古で出回って乗り回し、税金が高くて手放した車両が更にイジられて中古で・・の繰り返しでギッタギタにイジられてボロボロになった個体しか残っていないのが実情です。
なので車高も変えられておらず、変なアルミにも変わってなくて純正オプションのカラード5スポークラリーホイールを装着した、オリジナルの状態を保っているのは奇跡的とも言えます。
アメ車好きの人の大部分はクルマいじりも大好きで、日本に居るたいていのクルマは改造されていますが、病的に完全オリジナルにこだわる必要はありませんが、純正のスッキリした佇まいの良さももう少し浸透して欲しいです。
- カマロ(&ファイヤーバード)の変遷
初代のカマロ&ファイヤーバードは、1967年に登場しました。
フォードファルコンをベースに、スポーティーな2ドアボディを架装したマスタングが空前の爆発的なヒットとなった事を受けて、GMでも最初に紹介したシボレー ノヴァのGM-Xボディのメカニカルコンポーネンツを流用して、スポーティーな2ドアクーペ(&コンバーティブル)のボディを架装したポニーカーとして、GM-Fボディ、シボレーのカマロとポンティアックのファイヤーバードがデビューしました。
こちらもマスタング同様、高価で手間のかかる割に実用には不便な本物のスポーツカーではなく、見た目だけスポーティーで手軽にスポーティー感を味わいたい一般大衆に大受けしてヒットしました。
二世代目は、他のアメリカ車が1970年式ニューモデルを発表する1969年秋の時期から遅れた1970年の2月に、70½モデルとして登場しました。
メカニカルコンポーネンツはそのまま、ボディだけ完全に刷新しました。
(当時のアメリカ人がイメージする)ヨーロピアンなwスタイルは、当時としてはかなり斬新なモノでした。
1970年代前半には、このポニーカーに大排気量、大馬力のエンジンを搭載したカマロRSやトランザム等の「マッスルカー」が登場しますが、1974年のマイナーチェンジの頃には中東戦争によるオイルショックによるガソリンの供給不足と燃費問題や、大気汚染の排ガス問題、衝突時の安全性の改善等、今までのように大排気量、大馬力のマッスルカーを造っていられない事態になり、カマロ&ファイヤーバードも排ガス用デバイスの装着で馬力は低下し、大排気量エンジンも廃止で見た目だけスポーティーなクルマになりました。
※74-77年の5マイルバンパーモデル。後窓が拡大された1975年以降
純正ラリーホイールで車高もノーマル、変に改造されていない貴重な個体。
山梨で見たモデルは1978年の最終マイナーチェンジ後のモデルで、1981年まで大きなスタイルの変更はありませんでした。
山梨にあった車両は最もスポーティーな「Z28」というモデルで、第二世代では他にはベースグレードのスポーツクーペ、RS(ラリー・スポーツ)、SS(スーパースポーツ)やラグジュアリー系のLT、(79年からはベルリネッタ)等のラインナップがあったようです。
結局第二世代は、燃費問題、排ガス対策、安全対策などに追われてモデルチェンジ出来ずに1970 ½モデルから1981年まで、12年間も基本フォルムを変更出来ないまま過ごしました。
1978年?のラインナップです。
山梨で見た1980-81年頃の正規輸入車では
スポーツクーペ
ベルリネッタ
ラリースポーツ
Z28
だったような気がします。
ファイヤーバードのほうも、第二世代の正規輸入車では
エスプリ
フォーミュラ400
トランザム
だったような気がします。
- トランザム問題
蛇足ですが前述の通り、第二世代のカマロもファイヤーバードも日本では比較的メジャーなアメリカ車だった訳ですが、当時若者だった現在60~70代の人は、ほぼファイヤーバードの事をトランザムと呼びますw
これは、トランザムのボンネットに派手な鳥のデカールが貼られているインパクトが強く、中古で出回ったファイヤーバードにトランザム風の改造が施される場合が多かった事や、トランザム7000というカーアクション映画のシリーズが日本でもヒットした事で、ファイヤーバードのグレード違いを知らない人々が、ファイヤーバード=トランザムと誤認識して広まってしまった為です。
これは今でも、にわかの自称アメ車通が、60年代のシボレーにインパラ、ベルエア、ビスケインというグレードがあるのを知らないで全部インパラと呼んでいるのと同じです。
まぁ、いちいちコレはトランザムではなくファイヤーバード(のエスプリ・フォーミュラ)だと指摘しても、鉄道に興味のない人に「ココは非電化区間なので電車じゃなくて気動車です」と言っても無駄なのと同様なので、「ああ懐かしいトランザム、若い頃先輩が・・・」と武勇伝が始まっても、適当に相槌を打ってスルーするのが吉ですw
意外にも、ノヴァは想像以上にモデル化されていました。
バリエーションで、映画ビバリーヒルズコップのノヴァも出ていたようです。
AMT 1/25 1972 シボレー ノバSS プロストッカー プラスチックモデルキット AMT1142
この1/32のキットは知りませんでした。ググったら旧モノグラムの復刻品との事で、出来は良いです。
アトランティスモデル 1/32 ルート32 1969 シボレー ノヴァ SS プラモデル ATLAMCM2006
ミニカーでもバリエーション展開しているようです。
GreenLight グリーンライト 1968 シボレー ノバ SS chevy 1968 Chevrolet Nova ノヴァ
ラージサイズもアリw
ACME 1/18 シボレー ノバ ビバリーヒルズ・コップ 1970 完成品
カマロのほうが豊富なイメージでしたが、現在Amazonで入手可能となると意外と少ない印象です。
アメリカ製プラモではなくフジミ製だと、この次のカマロ・トランザム・コルベットの印象が強く、第二世代のカマロ・トランザムの存在を忘れてましたw
アメリカ製プラモと比較してしまうと、プロポーション等は若干劣るかも知れませんが、日本製プラモに慣れている人にはとっつきやすいと思います。
フジミ模型 1/24 RS-73 シボレーカマロ
ミニカー付き冊子のカマロです。Z28ですが、5マイルバンパーの77年式モデルです。
アメリカンカー コレクション 18号 (シボレー カマロ Z28) [分冊百科] (モデル付)
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