突然プラモネタを思いついたので、数回続けます。
まずは旧LS アリイ~マイクロエース 1/32 スバル360の話です。
いきなり能書きから始めると読むのがダルそうなので、先に改造記事を出して、あとから能書きを書きます。
- プラモデルにひと手間加えてリアル度を増す
1980年代中頃にLSから出た1/32 スバル360は、その後アリイ~マイクロエースと引き継がれたキットなので、今でも比較的用意に手に入るかと思います。
但しそのまま素組みしてしまうと、スバル360の特徴の「丸っこさ」がイマイチ再現されません。
とは言え本格的なモデラーのような高度な改造は難易度が高く、簡単には手が出ません。
そこで自分が30年以上前に加工した記憶を頼りに、ちょい足し加工でリアル度を上げる方法を紹介します。
- アリイ~マイクロエース 1/32 スバル360の難点
旧LSの1/32 スバル360は、まだまだ国産カーモデル新製品の主流が新型のスポーツカーやレーシングカーだった1980年代中頃に、1/32オーナーズクラブという旧車ばかりのラインナップから出た稀有な存在でした。
また1/24カーモデルより安価で組みやすく、プルバックゼンマイ付きでモデラー以外にも広い層に売れるように考慮された製品でした。
但しボディのプロポーションに若干難点がありました。
- ボディがやや幅広?
- ボディ前後の下端がスパっと切られた印象で、スバルの丸っこさが再現し切れていない。
- タイヤの位置関係が、トレッドが内側に入り込みすぎな上にシャコタン状態。
なので逆に、この辺を修正すればかなり見栄えが向上します。
- モデラー並みの加工はムリでもかなり良くなる
こちらはTwitterで見つけた作品ですが、一旦ボディをカットして車幅・全長まで詰めてかなりリアルになっています。
#プラモデル#アリイオーナーズクラブ#スバル360#過去作品
— 立体ぬり絵 (@nurie_cube) 2020年7月4日
アリイ1/32のスバル360です。「似てるけど何か違う感」を徹底的に検証して、
幅、全長を詰め、Aピラーから前のボンネットを切り下げてフロントガラスの立ち上がりを変えて、あとは裾を絞って...こんなん出ました。 pic.twitter.com/S1AzAyLLSU
さすがにココまでの改造は誰にでも出来る技ではありませんが、30年以上前の自分が試した方法でもだいぶ印象を変えることが出来ました。
ちなみに記憶だけで、現物の画像はないので悪しからずw
- ポイントは二点
二点だけ手を加えれば、かなり印象を変えられます。
- タイヤとボディの位置関係
実車は車重が400キロ未満、体重50キロの人を4人乗せると車重の50%にあたる+200キロが加重される事となり、1.5トンぐらい車重のある今のクルマより重量の増減の影響をモロに受けるので、空車時の車高が目一杯高めにセッティングされています。
また、車内の空間を最大限活かす為にタイヤは四隅に追いやられています。
コレを再現するために、キットのタイヤの配置を実車の画像を参考にしながら車高を上げてトレッドを拡げると、かなりリアル度が上がります。
自分はどう加工したか忘れましたが、Twitterで加工している人を見つけました。
アリイO/C 1/32 スバル360進捗。このキットは超シャコタンですが、てんとう虫を語る上で絶対ハズせないのは、ハンパ無いヒョコヒョコ感の車高と、超ポジキャンのリアサス。で、ホイールの軸受け加工して頑張りました(笑)#オーナーズクラブ#絶対ハズせないこだわり pic.twitter.com/7nbfANkOa9
— 青すけ (@aosuke8654) 2020年2月6日
自分はココまではやっておらず、車軸の位置をズラしたかシャーシー(床板)とボディとの位置を変えたかのどちらかだったと思います。
- ボディ下端の絞り
旧LSの1/32 スバル360は前後バンパーの下端がスパっとカットしたように真っ平になっているので、スバルの丸っこさがスポイルされています。
作例がないのでイラスト化していた際に気付きましたが、ボディのシルエット自体は悪くないのに、前後バンパー部分とタイヤとボディの位置関係の問題だけで、かなりイメージを悪くしている事が判明しました。
丸さを再現するために、一旦バンパーを削り落として丸みをつけ、バンパーを自作する人が多いですが、自分はパンパーが付いたまま前後のフェンダー下端を絞った記憶があります。
但し一旦バンパーを削っても残しても、バカみたいに闇雲に丸めるのではなく実車の画像をよく観察して、実車の丸みに近づける事が必須です。
自分は後部はバンパーの高さは変えずにフェンダーの左右コーナーの下端だけ削り込んで丸みを出し、バンパーの下端にもアールをつけて、フロント部はバンパー上端を削ってバンパー自体の高さを下げて、バンパー上部と接する部分を削り込んで丸みをつけた記憶があります。
ただ、上部を削ってその分厚みが薄くなったバンパーをどう処理したのかの記憶がありません。
実車をよく見ると、前バンパーはプラモのようにボディ下端とバンパー下端はツライチではなく、バンパーのほうがボディ下端より低めです。
逆に後部は、実車のほうがフェンダーの裾の部分がバンパーの下に少し見えています。
ちなみに前後バンパーはキットのように直線的ではないですが、かと言ってボディの丸みに沿って弧を描いている訳ではないので、実車をよく観察する必要があります。
イラスト化していて気付きましたが、実車は車体後部に行くに従ってキャビンが窄まってゆくのに対し、キットはそのまま延長している印象で、そのためリアフードの縦横比が幅広気味な気がします。
リアフェンダーも角張った印象です。ボディ本体の修正は、高度な技量が求められるので控えたほうが良いようです。
逆にリアフェンダーは実車の資料をよく観察して、絞ると良い気がします。
キットのフューエルリッドは明らかに長方形過ぎるので、スジボリを入れ直したほうが良い部分です。
バンパー下端が直線的なだけで、著しくスバルの丸っこさをかなりスポイルしているようです。
ダメ押しで車高が低くタイヤが内側に引っ込み過ぎでいるので、スバルのコロっとした感じからも遠ざかっています。
他にも前ガラスが実車より幅広で横長に見えてしまう点や、実車はボンネットフード下端がヘッドライトベゼル下端より低い位置なのに、キットはヘッドライトベゼルの下端のほうが低いなど、言い出したらキリがありませんが、とりあえずタイヤ&車高のバランスと、前後ボディの下端の絞り込みだけでも修正すれば、かなり印象を実車に近づけられます。
ボディ・F窓の幅広感は、実際には幅広ではないのにF窓の太い窓枠のせいで、窓の上下が狭められて横長に見えてしまうようです。
但し、だからと言って単に上下の窓枠を削ってしまうと、プラの厚みの関係で透明パーツの窓部品が奥まった印象になるので、窓枠の塗装の工夫などで誤魔化すほうが賢明と思われます。
- 能書き
何だかんだ偉そうに書きましたが、当時自分が作ったモノはハケ目の目立つ筆塗りボディで、カッターナイフで裾を絞り込んだままサフェーサーも吹かない荒っぽい仕上がりです。
今回こんな記事を書こうと思った訳は、情報過多で委縮してしまわずに、素組みから一歩踏み出すアイデアと方向性の例題を示したかったからです。
今は情報も高度な工具や用具、キット自体もインターネットが無かった時代よりはるかに入手しやすくなりました。
自分もTwitterで、雑誌の作例を作っている方々とも相互フォローさせて頂いているので、高度な作品を見る頻度も増えました。
カーモデルのキット自体も精度が上がり、旧車のキット化も増えました。
3Dプリンターで、精度の高いパーツの自作や入手も可能になりました。
自分はココまで情報がなかった当時、モデルカーズ誌を欠かさず購入して情報を入手していました。
モデルカーズ誌の素晴らしい作例を鑑賞するのは良いのですが、徐々に素晴らしい作品と自分の製作物との差に嫌気が差してきて、キットを作る頻度が落ちてしまい最終的にはキットを作らなくなってしまいました。
追い打ちを掛けるように仕事の都合で他県に転居してしまい、工具や塗料などは実家に置いたまま放置となり、結局全部廃棄処分しました。
数百冊買い続けたモデルカーズ誌も、まとめて一式で売却しました。
ガンダム界隈では「ヘタクソが作った出来の悪い作品は、タイムラインが汚れるから投稿するな」といった暴言が横行しているようですが、ガンダムに特化したSNSならともかく、Twitterなどなら誰でも自由に投稿して良い筈です。
確かに自分もキットではなくイラストですが、デッサンが狂ってカタチがおかしく、細部にだけに注力して全体を見ないので、平面的でキャラクターが背景に埋没してしまったような画力の乏しいイラスト画が続けてタイムラインに流れてくると正直キツいので、ガンダム界で暴言を吐く連中を、一概に断罪出来る立場でもありません。
今は余りに様々な加工ノウハウや高度な作例が蔓延しているので、自分のように高度な作例を目にして見劣りする自分の作品に委縮して、作品のSNS投稿を控えてしまったり、加工が苦痛だけで楽しくなくなってしまったり、工作自体を辞めてしまうようでは模型工作趣味界自体の消滅に繋がってしまいます。
とは言え何でもアリで酷い物がいつまでも連発されてもキツいので、ひと手間掛ける事で見栄えを良くするアイデアを書く事にしました。
今高度な作品を製作している人達も、初めから突然凄いモノが作れた訳ではなく、試行錯誤を続けて失敗を重ねて技術とセンスを磨いてきた筈です。
キットをそのまま組むことが出来るようになったら、次の段階として今回の記事のような点にも着目して貰えると有難いです。
自分の情報は30年以上前の話なので、古すぎて直接的には役立たないかもしれませんが、ボディとタイヤの位置関係など、どのキットにも共通する基本的な着目点は指摘出来ると思います。
- 加工の方向性
ひとくちにプラモデルに手を加えると言っても、人それぞれ目指す方向に様々な違いが生じます。
大きく分類すると
- 徹底的に綺麗に仕上げる
- 徹底的に細部を工作したり、ギミックを盛り込む
- 極力実車に似せる
といった感じかと思います。
どれが正しいとかどれが重要かに正解はなく人それぞれなので、自分は3.の極力実車に似せるを最重要視しています。
1.と2.はどちらかと言うと工作技術の研鑽的な意味が強いです。
自分は、塗装は徹底的に磨いて鏡面仕上げで、ワイパーやミラーを金属線やエッチングパーツで作り直し、開閉部分を全て開閉式に改造してあるのに、ボディの造形自体はプロポーションの狂ったキットのままで、タイヤのトレッドやホイールベースとボディのバランスもおかしなままといった感じの作品が「良くできた作品」とされていたのが当時は気に入りませんでしたw
「こんなにキレイに塗ってある」とか、「こんなトコロまで開閉する」とか、「こんなに細かいでディテールまで作り込んである」というより、パッと見て実車の雰囲気が忠実に再現されているモデルのほうを尊重しています。
特にプラモデル歴は長くてベテランでも、カーモデルは専門外な人の作例は、工作的には高度で工芸的には素晴らしい作品かも知れませんが、より実車の雰囲気を再現する配慮をしているかどうかという観点から見ると、実車の肝心な部分を全く観察していないダメダメな場合が多くて受け入れ難かったです。
なので自分は、凄い鏡面仕上げの塗装とかフル開閉とかエッチングパーツ多用という方向性ではなく、素組みから一歩抜け出すのに、初級者の出来る範囲で如何に実車の雰囲気に寄せるか?や観察のポイントを示していきたいと思います。
どうやら現行商品が買えるようなので、是非小加工にチャレンジしてみて欲しいです。
リンク先では、同シリーズの他車種も選べるようです。
マイクロエース 1/32 オーナーズクラブNo.04 '58 スバル360
新車時にはミニパトの制度自体がなかったので実在しない筈の仕様です。
上のもですが、どこで何をどう間違えたのか判りませんが、’58(昭和33年)となってしまっていますけど、1967~68年頃の車両がモデルです。
マイクロエース 1/32 オーナーズクラブNo.63 '58 スバル360 ミニパト
オバフェン等のパーツが付属したキットです。
自分はこのキットに付属するホイールキャップレスの、合わせホイール状態のホイールを使用しました。
もちろんオバフェンは使用しませんw
マイクロエース 1/32 オーナーズクラブNo.43 '64スバル360レーシング
ハセガワの1/24キットです。マイクロエースのキットより15~20年くらい新しいので、再現度は高いです。実車の最終モデルの頃のキット化です。
ハセガワ 1/24 スバル 360 デラックス 1968 プラモデル HC7
1/64ミニカーです。デメキンと呼ばれる古いモデルの模型化です。
トミカリミテッドヴィンテージ 1/64 LV-173c スバル360 ベージュ 61年式 完成品 317845
Amazonアソシエイト