プラモネタ第三弾、今回は今ではすっかり貴重品となってしまった日東マスター1/24ブルーバード1300デラックス(通称銭ブル)に手を加えて?みます。
本格的なモデラーでなくても、自分の出来る技量の範囲内で少々手を加える事で、キットの実車っぽさを少し上げてみませんか?という発想から始めたこのプラモシリーズですが、今回のキットはちょっと入手のハードルは高いかも知れませんね(^-^;
なので加工以外の事も書きましたので、読んでみて下さい。
- 日東マスター1/24ブルーバード1300デラックス
かつてプラモがメインだった日東科学が、マスターというブランド名で1980年代初頭に昔の金型から復刻した製品です。
昔、日東科学の末期、マスターというブランドでいくつかのキットが販売されました。
— GG60 (@zz60g) 2021年9月27日
この410ブルーバードの他に、コスモスポーツの金型を利用したマットビハイクルとかありました。
(ハセガワが出すまでは、日東のコスモスポーツが決定版)#懐かしキット #マスター#日東科学 #410ブルーバード pic.twitter.com/NX7TaNhnCh
さすがに復刻版でも40年くらい経過しているので、今ではかなりのプレミア価格になってしまいました。
なのでキットの加工について書いてもあまり参考にならないので、キット自体の考察や実車に関しても書いてみます。
- 初版は1965年?
1980年代初頭に出たキットは平板な内装にゴーグル&ヘルメットの生首が載る、明らかに旧いキットの復刻版と判る製品でした。
復刻時に改変されたと思われる部分は
- モーターライズ的な動力や電池機構部分はオミット
- 窓ガラス部品はヒートプレスの成形品
- タイヤ&ホイールは、日東の当時の新製品フェアレディRS311からの流用
といった点でした。
ボディそのものは肉厚のプラスチックでかっちりしたモールド。よく雰囲気をとらえていると思います。
— GG60 (@zz60g) 2021年9月27日
ただ、再販当時、クリアパーツは塩ビのヒートプレスになっていました。金型に問題があったのかもです。
ちなみに当時価格は1000円でした。アイテムが渋すぎてあまり流通しなかったと思います。 pic.twitter.com/4vfYUZB6iA
約40年前に自分がキットを購入した頃は、初版がいつ頃かなど調べようがありませんでしたが、今は簡単にググれるので調べたトコロ、どうやら1965年(昭和40年)頃のようでした。
「日産自動車株式会社の資料による完璧な精密モデル」が売りで、¥300-ぐらいのモーターライズと¥400-ぐらいのリモコン版があったようです。
- ダットサンブルーバード1300DX
次に実車の説明をします。
キット化されたモデルは、1963年にモデルチェンジをした二世代目ブルーバード410系型(411)です。
410系型は1963年に、当初前モデルの310系型を引き継いだ1200ccと1000ccの二本立てでしたが、1965年に1300ccに変更されスポーツ系の1600SSSも追加されます。
キットは、この1300ccになった時のモデル(411型)です。
- マイナーチェンジごとにどんどんアクを抜かれた時代
当初1963年に出たばかりの頃のモデルは、バンパーのオーバーライダー形状や大柄な格子状のグリルなど、かなりイタリアンテイストが強い外装ディテールで、今見るとイタリアンな異国感を上手に演出していて、むしろそちらのほうがクルマとしては統一感があって良い感じなのですが、当時の日本人にはちょっとクセが強すぎて受け付けられなかったようで嫌がられ、翌年すぐに大人しめなディテールに改められます。
キットはこの頃の外装で、エンジンが1300ccに替わって型式が410から411になった時点のモデルです。
大人しめに改めたにも関わらず、残念なことにフォルムが「尻下がり」に見えることを揶揄され、1966年にはボディ後半を大幅に改修するアレンジが加えられ、特徴的だった「鍵テール」も改められて個性的だった部分は凡庸・平凡に直されましたが、1967年に次の510系になるまで、ライバルの40系コロナの躍進に苦戦します。
尻下がり払拭の為に、車体後半が大幅に改修された後期型
- 銭ブルことブルーバード1300デラックス
今では410系型ブルーバードは「銭ブル」と呼ばれることが多いです。
これは初代アニメ版ルパン三世の1シーンに、銭形警部が410系型ブルーバードのパトカーに乗ってルパン達を追うシーンがあり、この場面が暫くTVアニメのOPに流用され、その影響で劇場版アニメなどでも410系型ブルーバードのパトカーが描かれる場合が多くなった事に起因する愛称です。
- 日東マスターブルーバードの難点
さすがに「日産自動車株式会社の資料による完璧な精密モデル」が売りだけあって、ブルーバードのフォルムを忠実に再現しています。
55年以上前のキットにディテールやモールドの細かさ、上げ底内装云々のケチを付けるのはナンセンスです。
気になる点は2点です。
- フロントグリルが薄い
- 日東フェアレディRS311流用のタイヤ&ホイールが微妙にミスマッチ
この点を手直しするだけで、かなり良くなる筈です。
- タイヤ問題
日東フェアレディRS311のタイヤ&ホイール自体は非常に良い物で、今でもフジミが引き継いで作っていると思います。
しかし残念ながら、実車のホイール径は13インチでフェアレディが14インチ。(※1600SSSは14インチ)
僅か1インチなので1/24の模型では直径1ミリ少々の差ですが、かなり印象が違ってしまいます。
このキット、元は黒パーツランナーにある不用部品のホイールインナー側と、本来はメッキパーツとしてあった筈のホイールキャップが彫刻されたパーツに、ドーナツ型のタイヤを挟むのが初版の仕様だったと思われます。
残念ながら復刻版ではホイールキャップが彫刻されたメッキパーツが欠品してます。
このドーナツ型のタイヤは、同じ1980年代初頭に同じマスターブランドで出ていた「帰ってきたウルトラマンのマットビハイクル」として復刻されたコスモスポーツに使用されていた可能性が高いです。
自分はマスターのマットビハイクルは持っていませんが、1970年代中頃に出たコスモスポーツは作ったことがあり、そちらはドーナツ型のタイヤでした。
このタイヤを流用すれば実車のバランスに近づきますが、このタイヤにはいくつかの難点があるので、あまり現実的ではないです。
問題は
- マスターのマットビハイクル自体が絶版で入手困難
- ホイールキャップはコスモスポーツ用の、ブルーバードとは違うイメージの物になる
- マットビハイクルでこのドーナツ型タイヤを使用しているのかの真偽と、もし使っている場合改善されたのかは判りませんが、1970年代中頃にコスモスポーツを作った際にはこのタイヤに問題があり、タイヤがすぐにC型に裂けてしまいました。
これらの難があるので、現実的にはタミヤのロータススーパー7シリーズⅡの13インチ4穴鉄チンがベストかと思います。
今なら3Dプリンタで作ってしまう人もいるかも知れませんねw
ちなみに、個人的にはワタナベなどの社外アルミはあまり推奨しません。
1965年当時、レーサー以外で社外アルミはほぼ皆無だったので引用した画像のワークスラリーカーですら鉄チンです。
1980年代中盤以降という設定ならアリですが…
画像出典:日産 ブルーバード411型のラリーカーを展示 | 日産ギャラリーフォトギャラリー (nissangallery.jp)
話が逸れますが、バカの一つ覚えみたいにミニカーでもプラモでも、片っ端から社外アルミに薄いタイヤで、ベタベタのハの字シャコタンにして売っている人が居ますが、正直ナンセンスなので見苦しいです。
リジットサスなのに当然のようにハの字、チャネリングした?元リーフスプリングのそこままで車高が落ちる筈のないトラック、360ccの合わせホイールにあり得ない4穴の社外アルミ
模型だから何でもアリと言っても、余りに非現実的で「自分は無知です。バカの一つ覚えです。」とアピールしているようで、無残に改造されたモデルがかわいそうでなりません。
- フロントグリルが薄い問題
閑話休題、タイヤ&ホイールは替えてしまえば済みますが、フロントグリルはイジるとなると結構厄介です。
このキット、全体の出来は良いのにどういう訳か何故かフロントグリルの上下方向の厚みだけが薄いのです。
寸法的には1ミリにも満たない誤差なのかも知れませんが、24倍されるとかなり印象に影響してしまいます。
しかしフロント周りに手を加えるとなると、相応の技術力が要求されます。
ヘタに手を出してダメにしてしまったら、元も子もありません。
当然自分にはそんな力量はありません。当時作った際は前後の窓枠はシルバーで筆差ししたものの、ボディ本体はキット成形色のまま上からクリアーを吹いただけでした。
タイヤ&ホイールはキットのフェアレディRS311用のままでした。
似ていないのを分かっていながら手を出さないのも納得出来ませんし、かと言って加工する技術もないので、妥協策としてかなりの力技を用いましたw
グリルのメッキパーツがハマるボディ側の上下を黒く塗って誤魔化しましたw
確かに実車と比較すると、グリルの上下方向の余白部分が実車のほうが少ないと、見れば判ると思います。
ヘッドライトのモールド形状の影響で、ライトの径も小さめなので、ヘッドライトをフチまで白く塗って誤魔化しましたw
さすがにコレだけでは余り変わりませんが、何もしないよりはマシだと思っていました。
今の人だったらボディ側の上下方向を拡幅して、タテヨコ比の正確なグリルを3Dプリンタで作ってしまうのが良いかも知れません(口で言うだけなら簡単なのでw)
元日東、現フジミのフェアrディSR311
定期的に作っているようですが、今現在は谷間のようでこちらもプレ値になってしまっています。
フジミ 1/24 日産 フェアレディ 2000 SR-311
さすがに日東の411ブルは見つかりませんでした。
こちらは1/64トミカTVLの410初期型です。
トミカリミテッドヴィンテージ 1/64 LV-65c ダットサン ブルーバード 1200 ファンシーデラックス 黄 完成品
TVLのバリーション、Ⅱ型にマイナー後1300ccの411型になる前の、まだ410型の2ドアセダンですね。
トミカリミテッドヴィンテージ LV-82b ダットサンブルーバード1200DX 青
銭ブル、Ⅱ型4ドアのパトカー仕様ですねw
トミカリミテッドヴィンテージ 1/64 LV-183a ダットサン ブルーバード パトロールカー 警視庁 完成品
タイヤ&ホイールはこちらがマッチしそうです。ホイールキャップレスの4穴鉄チン仕様になりますが
タミヤ 1/24 スポーツカーシリーズ No.357 ロータス スーパー7 シリーズII プラモデル 24357
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