前回ドラマ「浦安鉄筋家族」の劇用車、RS40-Pクラウンについて書きましたが、そもそも40系クラウンについて知っていないとイマイチ伝わらない内容だったので、二代目トヨペットクラウンである40系について記します。
(左ハンドルのRS41-L?)
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旧車イベントで役立つ情報?
前回の記事では単に珍しい珍しいと連呼していただけで、あのRS40-Pクラウンの貴重さが伝わりませんでした。
そこで40系クラウンについて知ってもらう為に主に外装から40系クラウンを識別する為の解説をします。
このポイントを見れば、旧車のイベント会場でただボーっとクルマを眺めるより有意義な時間を過ごせると思います。
ワゴンのクラウンカスタムと、バン等の商用車版のマスターラインに関しては別記したいと思います。
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40系クラウン
1955年にスタートしたトヨペットクラウンは1962年にモデルチェンジして40系となります。
先代が1955年デビューなので1962年までの間にテールフィン等を追加したりして古臭さを拭おうとしていますが、腰高の根本的なフォルムまでは誤魔化せず、二代目では一気に近代的な平べったいフォルムに変貌しました。
こちらは初期のRS41トヨペットクラウン・デラックスです。
当時はグレードのバリエーションが、大きくはデラックス(RS41)とスタンダードに相当する無印のトヨペットクラウン(RS40)しかありませんでした。
但し単純に内外装が豪華で装備が多いか少ないかの違いだけではなく、4気筒1900cc の3Rエンジンも無印のほうが若干デチューンされ、リアサスの形状まで変えられていました。
デラックス(RS41-D)のほうがリジットながらコイルスプリングなのに対し、無印クラウン(RS40)のほうは板バネでした。
テールライトの下にバックランプが付くので、1963年にマイナーチェンジした車両と区別する為に涙目クラウンと呼ばれています。
画像出典:トヨタ トヨペットクラウン DX 涙テール ベンチコラム | 在庫車両一覧 | ヴィンテージ 宮田自動車株式会社 | Classic House Vintage
TV版探偵濱マイクの劇用車はこの涙目テールです。
スタンダード相当の無印クラウン(RS40)のほうはガーニッシュが備わらずサイドモールも細身で、窓周りのメッキモールもないのでシンプルでスッキリした印象です。
1963年にマイナーチェンジが行われます。
フロント周りはTの文字をモチーフにしたグリルの下端が幅広となり、グリルのU字に合わせてえぐられていたバンパーはストレートな形状に変更されました。
興味のない人にとってはパッと見で同じに見えますが、初期とバンパーの形状が異なります。
この為初期の涙目クラウンのレストアを行っている人はパーツ難で苦労しています。
テール周りも、下端がナンバープレートに向かって徐々に下がって左右分断されていた形状が繋がった形状に改められます。
バックランプが独立したので丸テールクラウンと呼んで識別されています。
画像は珍しい左ハンドルのRS41-L?です。オーナーと談笑する編集長がw
スタンダードは余計な装飾がなくシンプルな外装です。グリルの意匠もあっさりした形状です。
ガーニッシュも窓枠のメッキモールも在りません。
先に述べておくと、当時デラックスは企業の役員車や富裕層の自家用車、(ガソリンの)スタンダードは社用車や官公庁の公用車がメインだったと思います。
減価償却サイクルで更新されてしまう法人名義のクルマより個人名義のクルマのほうが生き残りやすいので、残存している個体は圧倒的に デラックスが多いです。
スタンダードは、中古で放出されていても当時の個人オーナーが買うには装備や見た目が貧祖で食指が動かなかった筈なので生存率が低く、その点からもスタンダードは40系時代全モデル通じて今ではレアなグレードとなります。
プロパンのクルマは用途がほぼタクシーに限定され、当時は僅か3~4年の短い代替サイクルで更新されて廃棄処分の運命でした。
この為生き延びた個体は皆無に等しいので「浦安鉄筋家族」の劇用車は、奇跡に近い個体なのですw
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閑話休題
1965年に大掛かりなマイナーチェンジが行われます。
先に外装が変更され、デラックスのコイル式リアサスとスタンダードのエンジン・駆動系を合わせて装備をスタンダードより若干豪華にする事で個人オーナーが買いやすい価格にしたオーナースペシャル(RS40-B)が追加されます。
画像は判りづらいのですが、完全にガーニッシュが無いのではなくテールライト間に装飾が施されています。
間もなくそれまでの4気筒の3Rエンジンに加えて、新たに6気筒OHCのM型エンジンが主流として搭載されます。
この時に6気筒エンジンを積むために後期ではフロント部が僅かに延長されています。
なので、この時点で前期と後期に分けられると思います。
その為フロントフェンダーが延ばされているので、前期と後期ではフロントフェンダーやボンネットに互換性はありません。
外装での識別方法は、バンパー上に飛び出していた車幅灯がバンパー内に組み込まれます。
パッと見でフロントフェンダーが延びたのを見分けるのは困難なので、車幅灯の違いで識別するのが手っ取り早いですw
後部も丸いテールランプが台形に変わったので印象が大きく変わりました。
角テールクラウンと呼んで識別されています。
この頃になるとバリエーションが増え、フロアシフトでタコメーター付きの丸形メーター、ツインキャブ、ディスクブレーキ等でチューンしたスポーティーなクラウンSが登場します。
クラウンSはディスクブレーキを装着する都合上、従来の13インチホイールから14インチホイールに変更されています。純正ホイール装着車ならホイールカバーが異なるので判別出来ます。
その後1966年に最後のマイナーチェンジが行われ、バリエーションも増殖します。
代表的なのは最上級グレードのスーパーデラックスです。
クラウンSのディスクブレーキやパワーウインドウを装備した豪華版です。
スタンダードやオーナースペシャルにもM型エンジン搭載の6気筒車が設定されます。
フロントグリルは、それまでのヘッドライトを囲んだベゼルタイプの意匠から独特なイメージの形状に変わります。
各グレードごとにグリルや中央のエンブレムを細かく変更しているので、煩雑過ぎて当方は掌握していません。
相変わらずスタンダードはシンプルでスッキリした印象です。リアサスも板バネのままです。
個人的には余計な装飾がなくシンプルなスタンダードに好感を持ちますが、世間一般は豪華絢爛で何もかも全部のせの、デラックスやスーパーデラックスしか眼中にありませんでした。
浦安鉄筋家族のRS40-Pもガソリンのスタンダードと同一の外装と思われます。
1967年に三代目の50系クラウンにバトンタッチされます。
この記事を読んで、パッと見で前期と後期かを識別出来るようになれば上出来だと思います。
涙目と丸テールを見分けられれば優秀ですw
スタンダードとデラックスは見た目の違いだけでは無いという事を知って下さい。
前期と後期では長さが異なり互換性が無い事と、後期から6気筒車と4気筒車が存在する事もww
旧車イベント会場で何も知らないでただ何となくボーっと眺めるより、こういった点に着目して鑑賞するほうが余程楽しく有意義だとは思いませんか?
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1/64ミニカーのRS41クラウン、初期の涙目テールです。
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1/43スケールのRS41クラウン、涙目テールです。
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当時物の貴重なアンティーク品、1/42スケールのRS41クラウン、涙目テールです。
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涙目テールばかりなので丸テールを探しました。上のモデルの金型を改修して丸テール仕様に改めてあります。当時物の貴重なアンティーク品です。
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こちらも1/43スケールのRS41クラウン、涙目テールです。
FIRST:43 1/43 トヨタ トヨペット クラウン 1962 ブラック 完成品
ある意味珍品の角テールクラウン。映画「007は二度死ぬ」のヘリコプターで吊り上げられるシーンの正規ライセンス品です。
キチンと角テール仕様になっていますw
余談ですが映画では吊り上げられる際に前期モデルを角テールっぽく偽装した車両に差し替えられている様子です。
トヨタ クラウン ミニカー 1/43 ボンドカー TOYOTA CROWN S40 1967 ジェームズボンド 映画 007 『007は二度死ぬ』 [並行輸入品]
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